DXを推進すべくスタートアップへ出資する方法とは?

事業の成長

昨今大企業内でイノベーションを起こせる体制を構築してようと躍起になっていますが、動きの遅い大企業では中々それも難しい。

スタートアップに出資することで、イノベーションの芽を獲得し、自社のインフラを活用させイノベーションを起こしていこうとする動きが活発化しています。DX (デジタルトランスフォーメーション)を推進すべくスタートアップへ出資することがいま経営テーマとして挙がる回数が増えました。

出資してからどのように連携すべきか、どのようにガバナンスをきかせていくか。そもそも、出資の目的は実現できるのか、当スタートアップと自社との親和性・シナジーはあるのか、そのような視点もなく、ブームに乗って出資している企業もあります。

そこで、適切なアプローチ・ステップに沿って、検討を実施し、出資目的の実現と共に、円滑な協業関係を構築すべく、契約面でそれを担保していく必要があります。

 

スタートアップ出資の全体像

スタートアップ出資のステップとしては、大きく下記5つに分けられます。

  1. 全社・事業戦略の確認
  2. スタートアップ出資の目的定義
  3. ソーシング (出資の候補先探し)
  4. ディール実行 
  5. 出資後の体制構築

 

いきなりスタートアップのソーシングに入る前に、戦略の確認とスタートアップへの出資の目的を定義することが必要です。昨今の市場環境を見ていると、ほとんどのケースでDX (デジタルトランスフォーメーション)の推進が挙げられています。

スタートアップないしベンチャーへの出資は、基本的には出資金額は回収できないことを念頭に行うべきです。出資金額は、買収に資する会社か否かを見極めるためのモニタリングをさせてもらう権利及び唾つけ程度に捉えたほうがよいでしょう。

なにも目的もなしに、出資を行うのは愚の骨頂ですが、先々の協業を見据え行うこともあれば、将来的な買収を行う際の、優先交渉権の獲得の意味合いも強いです。(純粋にシナジーを求める事業会社では、何時時点かのEXITを目指すVCとは目的が異なる)

どのような目的で当該スタートアップに出資するかを定義した後は、それに該当するスタートアップを探索することとなります。合致するスタートアップを発掘できた場合は、NDAを締結し、買収の記事でも紹介したようにDue Diligenceのプロセスに入ります。

対象会社が出資に値する会社か、出資にあたり法的リスク等はないかをつぶさにみていくこととなります。

DDプロセスにて出資に値する会社であることがわかり、出資金額も定まったところで、出資後にどのようにモニタリングを行っていくのか、ガバナンスを聞かせていくのかを定め、定期的に対象会社の動向を確認していくことが必要となります。

スタートアップ出資関連でおすすめの書籍は以下です。

 


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スタートアップ出資の個別ステップ

 

全社・事業戦略の確認

まずは、全社・事業戦略との整合性を確認する必要があります。

全社戦略では各事業の目標値が示され、そこへの資源配分も明確になっているはずです。そのポートフォリオ方針に沿って、事業戦略が策定され、対象事業における競合との勝ち抜きシナリオが整理されているはずです。

そして、スタートアップへの出資によってどの領域に展開したいか/どのようなポジションを築いていきたいかが明確になっているということです。

但し、そのような技術や製品を中小・大企業が有していなく、スタートアップのみが開発しているとなった場合、買収に踏み切るか、まずは少額出資を行い技術力等を見極めていくかを検討する必要があります。

 

スタートアップ出資の目的定義

社内説得上、出資により技術力を見極めた後に、買収判断を行うとなった場合、出資後にその企業とどのような成長ストーリーを描けるかを考えていくこととなります。

補完・強化・展開したい領域や獲得したい製品が事業戦略上は抽象的にしか整理されていない場合、さらなるセグメント分けを行い、どこを押さえれば、目的実現が果たされるのかを検討することが必要となります。

当該スタートアップ出資を行うことで、何を実現したいのか、単純な協業ではだめなのか、その問いに答えることが必要となります。

出資の目的としては、協業によって単純なシナジー(売上シナジー(クロスセル、アップセル、研究開発等)、コストシナジー(共同開発・製造のよるコスト共通化、共同購買 等))を目指すことは自明ですが、金を出す目的としては唾つけが最重要となります。

唾つけとは、将来的な買収を見据えた場合に競合他社に買収されないように優先的に買収交渉・実行を行える権利(先買権、Call option等)や買収を阻止したり、自社事業戦略の方向性と乖離しないようにモニタリングしていく権利(議決権、取締役、オブザーバー派遣)を要求していくということです。

出資をするということは、将来的な自社機能・部門への取り込みを見据えているケースが大半ですので、競合他社に技術がわたることは未然に防ぐ必要があります。

だが、すぐの買収はリスクを伴うといった場合には、出資の上、契約によって、上記リスクを軽減していく必要があります。

 

ソーシング

上記ストーリーを実現するうえで、どのような企業を獲得する必要があるのかを具体的に企業名を探していく作業が当ステップとなります。

まずは、「ロングリスト作成の分母となる対象をどこに定めるか」ということを考えなければなりません。

社内に知見者(各企業とリレーションを築いている営業担当者等)がいる場合、そこをあたるのが先決です。社内知見者に初期データベースを作成してもらい、洗い出された企業が出展している企業イベントをデスクトップリサーチを行っていくのがよいでしょう。

その他の方法としては、SPEEDACapital IQを用いて、キーワードを複数入れ込み、一気に抽出するやり方があります。但し、この場合、関係のない企業も抽出される可能性も高く、はじく作業で無駄な工数が割かれるケースも多々あります。

スタートアップのー場合は、CrunchbaseStartupDBで検索を行うことも多い。紹介のケースも多いし、最もスタートアップピッチイベントで見つけるケースも多い。

または、コンサルティング会社や投資銀行など外部の企業に委託し、ロングリストを自体を作成してもらうのも手です。ある程度の企業が抽出できたら、一定の軸で企業を絞り込み、ロングリスト化していくこととなります。

どのような軸で初期評価を行うかというと、以下の観点です。

  • 欲しい機能をもっていそうか
  • 財務面は健全か (倒産リスクはないか)
  • 法的リスクはないか (他企業の特許等侵害はないか)

 

まず明らかに対象外の企業を外していく作業が必要となります。そこで欲しい機能もっていそうかをおおまかにデスクトップあるいはその顧客として電話で確認するなり、確認していくこととなります。

デスクトップでは、企業HPを確認すれば大抵わかるはずです。

さらに詳細情報が欲しければ、製品紹介のページを確認すればよいし、顧客として電話にて詳細を聞くこともできます。但し、まだロングリスト作成の段階であるため、下手に工数を割くのは得策ではない。大体のあたりをつけるのが肝要です。

できあがったロングリストは20-30社になっているはずです。これら企業をさらに調査・評価付けを行い、実際の意向確認を行う対象企業群となるショートリストを作成していかねばならない。

ロングリストに挙がった企業をどのような評価軸で評価すべきかというと以下が代表的な軸となります。

  • ビジョン (自社戦略と整合しているか)
  • 人材 (経営陣・エンジニアは優秀か、会社経営経験・Exit経験はあるか)
  • 株主 (既に競合他社が入り込んでいないか)
  • 財務・法務リスク (倒産の可能性はないか、事業悪化の可能性はないか)

上記軸で一定の評価を行い、5~7社程度のショートリストを作成しましょう。当ショートリストの企業ごとの企業の会社概要、製品概要、業績、対象市場の伸び等総合的かつ簡易に調査したパッケージを作成し、どの企業に売却意向があるかを確認していくかを決定することとなります。

その意向確認のアプローチ先としては3社程度をまずは抽出しましょう。意向確認と併せて対象会社の事業戦略や製品開発状況等確認すべきポイントは別途整理しておき、併せて情報を収集できる状態としておくことが重要です。

ではその意向確認をどのように行うかというところですが、M&Aアドバイザリーサービス会社、コンサルティング会社、投資銀行といったFA経由あるいは外部インタビュー会社を通じて行うか、直接聞くという方法がとられます。

売却意向がない企業は買収が難しいため、将来的な買収先候補とし、意向があった企業のうち、どの企業を実際に買収していくかを決定する必要があります。

意向があった企業からとれたヒアリング結果を基に、さらに企業パッケージを肉付けしましょう。さらには、自社企業文化及び事業戦略との整合性も評価ポイントとなる。異なる文化を有する場合、PMIで苦労するし、シナジーを出していくのが難しいケースがあります。

 

 

ディール実行

買収候補が決まった後は、ディールを以下の流れで進めます。流れは企業・事業買収とほとんど同じです。唯一異なる点は、⑦バリュエーションの部分でしょう。


 ⓪ 検討チーム組成 (FA選定、WG(ワーキンググループ)組成)
 ① NDA締結
 ② 初期情報開示
 ③ 初期評価・バリュエーション
 ④ LOI締結
 ⑤ DD (デューデリジェンス)
 ⑥ プロジェクション作成
 ⑦ バリュエーション
 ⑧ 契約交渉・DA締結
 ⑨ クロージング

上記ステップのうち、ディールの肝となる⑤以降の主要なステップのみ説明します。

出資判断で最も重要なステップが、⑤DD (デューデリジェンス)です。DDとは、「出資候補が、自社にとって出資・将来的な買収に資する会社であり、出資・買収のリスクはない」 かどうかを多面的に調査することです。

一般的なDDの種類としては以下があります。対象会社の事業規模や業種によって、DDの範囲や深さを調整するのが一般的である。スタートアップの場合かつ少額出資の場合は、スコープを絞ってDDを行うのが一般的です。

  • ビジネスDD (下記は検討テーマ)
    • 戦略
    • 事業計画
    • R&D
    • 調達・製造
    • 販売・マーケ
    • その他 (知財 等)
  • コーポレートDD
    • 財務
    • 税務
    • 法務
    • 人事
    • その他 (IT、環境、ガバナンス 等)

 

フルスコープでDDを行う場合、社内リソースだけでは、全てを検討することはできない。その場合、論点(買収判断を行うにあたって、答えるべき問い)を明確にした上で効率よくDDを行う必要があります。

また、資金的余裕がある場合かつ、リソースがひっ迫していたり、より精度高くDDを行う場合は、外部アドバイザーを起用することも一案です。

では、実際にDDをやる際にどのように進めていけばよいのでしょうか?

それは以下のようにすすめていけば良い。ファンドでもコンサルでもM&Aアドバイザーでもほとんどのケース以下の流れでDDを進めていきます。スタートアップだともっと簡略化するケースが多いですが。

  1. 論点及び検証リストの作成
  2. 情報開示請求
  3. Q&A
  4. マネジメントプレゼンテーション・インタビュー
  5. (サイトビジット)
  6. DD結果の整理・報告書作成

 

1.の論点及び検証リストとは何かということですが、論点 (買収判断を行うにあたって、答えるべき問い) とその論点に答えるための検証方法を一元管理するシートととらえていただければと思います。

何を論点と設定すべきか、ということは案件のたびにクライアントから出る質問です。論点を別の表現で言い換えると、「何を明らかにすれば、社長は買収判断ができるか」ということを考えれば自ずと導かれるはず。

論点は単に列挙すればよいということではありません。構造化し、どの問いに答えればどの上位論点をつぶせるかを俯瞰しながら進める必要があります。

例えば、ブレークダウンの始点となる論点は、以下2つです。
 1. 対象会社は出資・買収に資する会社であり、リスクはないか
 2. 対象会社を現時点でいくらで出資するのが適切か

この2つの論点を各テーマ・あなたの属する業界特有の言葉も含めながらブレークダウンしていきましょう。ブレークダウンの際に注意してほしいのが、基本的には論点はYes, Noで答えられる問いの形にする必要があるということです。

例えば、検証の論点が「事業計画のうちの売上」だけでは何を検証するのか、どのようなことに答えを出すのか全く不明です。

このような場合は、より具体的に「事業計画の売上計画は妥当か」といったように問いの形にし、妥当と言うためには、どのような問いにさらに答えなければいけないかを考えると良いでしょう。


例えば、「売上の前提となっている販売数量の伸びは、市場成長率と比べ、妥当か」×「売上の前提となっている販売単価は、市場平均値・主要競合の価格と比べ遜色ないか」等のようにブレークダウンを行っていきまましょう。

論点をブレークダウンしたら、余力があれば、それぞれの論点に対して仮説を立ててほしいです。仮説を立てることで、検証がぐっと楽になります。

 

 

では仮説とは何か。それは「現時点での仮の答え」です。例えば、先で見た例の「 売上の前提となっている販売数量の伸びは、市場成長率と比べ、妥当か 」という問いに対して、仮説「対象会社の主戦場である中国市場の市場の伸びは10%程度であり、それと比べ、大きく乖離はしていない」と設定をした場合、

上記仮説を検証する際の検証事項は以下となります。
「①対象会社の販売数量の成長率と②中国市場における販売数量の成長率に乖離がないこと」

仮説がなければ、まずどの市場の伸びを見るべきか、その伸びと対象会社の伸びをどのように比べるべきか、をデータが来てから考え始めることとなります。データを集めて、さぁ考えようという思考で起こることはただ一つ。

「出口がみえなくなる」ことです。大量のデータに埋もれ結局何を検証したかったのかわからなくなります。

答えるべき問いを明確にし、粗々でもよい仮説を設定してこと、時間的制約のあるDDで効率良く、買収判断へ向けた材料を揃えることができるのです。

一通り論点と検証事項を整理できたら、それぞれどのように検証するのかを記載していきましょう。例えば、対象会社から該当データをもらえばすむのか、Q&Aの形で聞いていく必要があるのか、マネジメントインタビューで深掘りして聞いていく必要があるのか、工場等現場を視察する必要があるのかといった具合です。

それぞれ、検証方法を記載したら、各項目に対する期限と担当者を明確にしましょう。

対象会社から提供されるデータやQ&Aでの回答は膨大な量となります。それぞれの担当領域に責任を持ち、検討を進めていくことが必要となります。

それぞれの論点に対して答えが出せたら、それをDD発見事項として整理する必要がある。その結果を後段で見ていく事業計画に反映し、バリュエーション(対象会社の価値)を行っていきます。

次に、⑥ プロジェクション作成と ⑦ バリュエーションを説明します。

プロジェクション作成とは、「対象会社から出てきた事業計画(マネジメントケース)の前提値を修正し、修正事業計画を作成すること。さらには、自社とのシナジーを反映したシナジーケースを作成すること」

主論点である「 2. 対象会社を現時点でいくらで出資するのが適切か」これに答えを出すためにやることがプロジェクション作成とバリュエーションとなります。

バリュエーションの基となるのが、プロジェクションです。対象会社から事業計画を提供してもらうが、大体のケースで対象会社が提示する事業計画はバラ色(強めの事業計画)になっている。特に、スタートアップの場合は売上の将来値を予測するのが難しい。そのため、市場の見立ても、それに対する自社売上高も前提があいまいで計画をひいているケースが多いです。

計画値の達成確率が見積れない場合、それは修正事業計画を見直す箇所を増やすとともに、バリュエーションの中の割引率を高め(50%程度)に設定して、価値を減額することが多いです。

例えば、売上の前提となっている販売数量が市場成長率より高めに設定されていたり、過去トレンドと比べ、計画期間で急激な伸びとなっているケースがあります。

まずは、対象会社の事業計画をマネジメントケースと呼ぶが、マネジメントケース時点でバリュエーションを行います。

次に、マネジメントケースのうち上記のおかしな前提がないか精査し、現実的な修正事業計画を作成するのが次のステップです。

修正事業計画をどのように作りこむべきか。これは別記事にて詳細に説明したいと思うが、基本的には対象会社から受領した事業計画の実績値をブレークダウンし、それを操作するパラメータに分けることから始めましょう。

事業計画のうちの実績値をブレークダウンするとはどういうことかというと、例えば、売上=販売数量×単価と分解していくことである。このように単純に分けることができればよいが、多数の製品を有している場合は、製品別で数量と単価が分解できるはずです。

さらに、コスト面も分解し、まずは人件費、地代家賃等、代表的なコスト項目ごとで分解しましょう。人件費の場合は、さらに、一人あたり平均人件費と社員数のように分解できます。

このように実績値を分解していき、主要なパラメータを取り出せたら、そのパラメータを何と比べ、妥当か判断していくかを検討していくこととなります。

例えば、販売数量だと先の例でみたように、市場成長率と比べたり、競合の成長率と比べたり、過去トレンドと比べたりといった形で将来計画値の妥当性を検証していくこととなります。

また、この際対象会社の事業計画の前提が不明な場合は、追加で情報を要求したり、Q&Aシートで回答を受領したり、マネジメントインタビューを実施して前提を明らかにしていくことが必要となります。

修正事業計画でもバリュエーションを行い対象会社単独での価値はいくらかをはじくこととなります。

そして、最後に自社とどのようなシナジーがあるかを特定し、対象会社を買収した後にどれだけ成長が見込めるかシナジーケースを作成し、バリュエーションを行うというのが大きな流れです。

シナジーは①売上シナジーと、②コストシナジーがあり、それぞれどの程度修正事業計画の増減に影響するか数値化することが必要となります。

では、テクニカルにバリュエーションをどうやるかということであるが、それはここでは割愛し、専門的な書籍に委ねたいと思います。(要望があればアップします)

スタートアップの場合は、調達ラウンドが複数あり、①シードラウンド、②シリーズA、③シリーズB、④シリーズCといった形で実施されます。

その度ごとに、その時点でのバリュエーションを実施する(Pre money Valuationと呼ばれる)。そのバリュエーションに出資金額を加え、Post money valuationをはじく流れがスタートアップのバリュエーションになります。

スタートアップのバリュエーションの前提となるのは、対象会社が生み出す売上やFCF、顧客数の伸び等になります。手法は投資ラウンドで異なりますが、若い企業だと売上高倍率で算出する方法が多い気がします。

ここまでで、DD・プロジェクション・バリュエーションを見てきましたが、これらは一体何をやっているのかを別の言葉で説明すると「①これまでどれだけの業績を生み出してきたか、②どのようなメカニズムによって①業績を生み出してきたのか、③そのメカニズムは今後も継続できるか、④今後継続できるとすると今後どれだけの業績を生み出していけるか 」
この①~④を明らかにするためにこれら作業が必要となると認識いただけるとよいでしょう。

これら結果を取りまとめ、各論点に対する答えが出ているはずです。

主論点である、「出資候補が、自社にとって出資・買収に資する会社であり、出資・買収のリスクはない」「 対象会社を現時点でいくらで出資するのが適切か 」ということに答えを出せており、理由は3つである ①XXX、②XXX、③XXXといった形で結論を完結に説明できると良いです。

適宜、サポート資料として対象会社の情報や競合比較スライドを図解し、経営陣に理解できる形で説明し、円滑な意思決定を促すことも経営企画部としての役割です。

続いて、⑧契約交渉・DA締結のステップとなるが、これは専門書籍に譲りたい。契約交渉では、こちら側が実施したバリュエーションを提示しますが、そっくりそのまま妥結価格になることはなく、対象会社に契約書を提示した後、数回のやり取り・交渉を行い、価格面や条件面のすり合わせを行っていくこととなります。

定めた出資目的を実現できるかどうかは契約書の中で担保していく必要があります。基本的には創業初期の出資でなければ、既存株主と同等の権利を付与されるのが一般的です。

スタートアップに出資する際の契約書は以下3つ

  1. 株式引受契約
  2. 優先株式条項
  3. 株主間契約

 

①株式引受契約は、投資実行の前提条件や表明保証、補償等を定めるもの。投資するんだからその前提となる諸々の資料の内容とか問題ないでしょ?問題あったら補償してねということを定めるものです。

②優先株式条項は、今回の株式発行をいくらで、どれだけ発行するかとか、どんな権利付与があるかとか定めたものです。特に権利の部分は、要注意。代表的な権利として以下があるが、スタートアップからしたら自由度も制限されるわ将来的にExitの場合の足かせになったりするため、権利付与は最低限にとどめたいという意向が多いです。
・議決権
・残余財産分配:
 ☞普通株主に先立ち、株主が投資金額を優先的に回収できる権利
・希釈化防止条項:
 ☞ダウンラウンドの場合等に、持分比率が下がらないようにする権利
・優先配当

③最後に、株主間契約は、投資後の会社運営やExit等に関して定めたものです。

・会社運営系ものだと以下
 ・取締役・オブザーバー派遣
 ・事前承諾・事前通知
  ☞何らか大きな決定をする際に知らせてという権利
 ・情報アクセス権利
  ☞出資するんだから、財務データ等ちゃんと見せてよという権利

・Exit関連系のものだと以下
 ・先買権
  ☞株主が株式を手放す場合に、自社が優先的に買い受けることがで着る権利
 ・タグアロング権 (共同売却権)
  ☞ 株主が株式を手放す場合に、 自社も共同で売却できる権利
 ・ドラッグアロング(強制売却権)
  ☞他の株主に、売却に応じることを請求できる権利

 

出資後の体制構築

出資後はモニタリングが必要となりますが、出資後にどのようにモニタリングをすべきかを検討を開始するのでは手遅れです。

DD期間中からモニタリング計画も策定しておき、対象会社をどのように自社組織・機能に取り込んでいくのか、どのようなステップで取り込んでいくのか、だれが主導していくのか、いつまでに何をやっていくのか等、計画をあらかじめ策定しておくことが肝要です。

出資後は、上記計画に沿って対象会社にガバナンスをきかせていくことが急務となり、なるだけ早期に体制構築作業を完了することが重要となります。

出資後の体制構築では、ガバナンス体制、管理するKPI、モニタリング方法・頻度を確りと定め管理していくことが重要となります。

 

今後のステップ

出資後は、対象会社の製品等が技術的に優れたものか、買収に資する会社かを見極めていきますが、出資後に技術上の問題が発生したり、組織文化的に合わなかったりする場合は、出資金額を回収しにかかるためにExit戦略を策定・実行する必要があります。

問題が発生してから、その扱いを一から考えることは打ち手のスピード感としては遅すぎる。全社戦略の中のポートフォリオ管理方針の中で、一定の基準を満たしていない企業の撤退基準と撤退方法を予め定めておくことが重要です。

 

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次の記事:意思決定の促進

 

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