戦略ができたとしても、正しく実行されなければそれは絵に描いた餅です。
コンサルは役に立たないということはしばしば言われることですが、それは往々にしてコンサルに策定させた戦略が正しく、現場に落とし込まれず実行が不十分であるということが理由としてあります。
戦略は現場が動かせるレベルまでかみ砕くことが必要であり、それは実行計画として、具体的にだれが、何を、いつまでに検討するかという計画を策定し、適切なメンバーをアサインし、実行していくことが肝要です。
また、その際に戦略実行によって、効果がでているかどうかは、KPIを設定し、その目標値と実績との差分を確認し、アクションをとるという、PDCAを適切に回せるかが併せて重要となります。
モニタリング・評価の全体像
モニタリング・評価のステップとしては、大きく下記3つに分けられます。
- KPIの設定
- 会議体の設定
- モニタリング・評価の実施
モニタリング・評価の個別ステップ
KPIの設定
KPI (Key Performance Indicator:重要業績指標)とは「KGI(最終目標)を構成する要素・項目」ととらえるとよいでしょう。
例えば、売上100億円をKGIに設定した場合に、それを販売数量×販売単価に分解し、さらに販売数量を集客数×コンバージョンレートのように分解し、この変数をKPIに設定するということです。
管理するKPIは任意で設定すればよいですが、管理するKPIの数は極力少ないほうがよいでしょう。
その理由は、管理するKPIが多ければ多い程、そのKPIが悪化した場合に、改善するための施策をKPIの分だけ策定する必要がでてきて、結局リソースが分散し、効果がでないといったことが発生します。
したがって、KPIに設定すべきは、KGIに最も影響を与える要素・項目とすべきです。
会議体の設定
実行計画を策定し、管理するKPIも設定した場合に、それをどのような会議体で、どのくらいの頻度で管理するかを検討し、実行することが肝要です。
綺麗かつ緻密な計画に沿って、実行した場合でも、想定外の出来事は起こります。そのときに柔軟に対応し、対応策を検討できるかが重要です。
会議体は以下の観点で設定します。
- 会議の目的:どのような内容・目的で行うか
- アジェンダ:その際に何を議論/意思決定するか
- 参加者と役割:だれが、ファシリテート/発表/意思決定/参加するか
- 時期・頻度:いつ、何回くらいの頻度で行うか
上記観点で会議体を設定し、PJの進捗状況、KPIの実績、具体的な改善アクション等を議論していきます。
モニタリング・評価の実施
KPIと会議体が設定できたら、最後に会議の中でどのようにそれをモニタリング・評価していくかです。
基本的には、先に述べたように会議に準備される資料のアジェンダということになります。
主に、
- スケジュール
- 各タスクの進捗状況・課題
- KPI実績
- KPI改善の具体的アクション
- 今後のステップ
といったように、検討が推進していっているか、そのスケジュール感と併せて実行上の課題、KPIの状況、KPI改善へ向けた具体的アクションを報告させましょう。
それら状況に対して、会議における参加者は議論を行い、必要に応じ意思決定を行います。
経営企画人材の中には、事業部が報告する内容に対し、批判的なコメントをだせば仕事をした気になっている方がたまにいるが、ぜひやめていただきたい。
案件の性質上、ブレーキをかけることは必要な場面もありますが、基本的には会社の成長へ向けて、事業部の検討をサポート・補完・強化する位置づけで、会議における発言を行うべきです。
実行計画・KPI管理・プロジェクトマネジメント関連でおすすめの書籍は以下となります。
ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ
問題解決ファシリテーター―「ファシリテーション能力」養成講座 (Best solution)
PDCAプロフェッショナル―トヨタの現場×マッキンゼーの企画=最強の実践力
今後のステップ
モニタリング・評価を行った後、戦略及び計画上問題なく、効果も出ているということであれば、そのまま継続していけばよいでしょう。一方で、思った以上の成果が出ていない場合には、戦略及び計画の見直しを適宜行うことが必要となります。
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