経営企画部が関与する稟議・決裁とは、「一社の企業の成長を左右するもの」です。企業のかじ取りに関する意思決定自体は経営陣が行いますが、その意思決定を行うために必要な情報は経営企画部が提示する必要があります。
稟議の場で、細々した情報を全て説明し、さぁ判断してくださいでは何ら会社のブレーンたる経営企画部としての役割を果たしたことになりません。
前の記事でも説明しましたが、本来、会社のブレーンたる経営企画部が果たすべき役割とは、大きく以下2つだと考えます。
- 会社の成長を左右する意思決定の精度・効率を高べくサポートすること
- 上記意思決定に必要な情報の収集/整理/加工/分析を行うこと
経営企画部は、経営陣が精度高い意思決定を効率良く行えるように、 膨大にある情報を収集・整理・加工し、経営陣に提示していく必要があるのです。
また、収集する情報も、都合の良い情報を集めて、都合の良い結論を提示するのでは、会社を誤った方向に進ませるリスクがあります。
市場・顧客動向、競争環境等の外部環境の動き踏まえ、自社としての強みを考慮しながら、自社としての目標に向けて何をしていくべきか ( ≒ 戦略)を決めることが肝要となります。
そんな中、大企業の中には変化を恐れる役員が存在します。
変化を恐れ、新たな打ち手を実行しない、その必要性に気が付くころにはもはやGAFA等 デジタル時代のメガプレイヤーによって、市場を掌握されてしまっているのです。
そのような大企業病の思考に陥っている役員の納得感を醸成しつつ、稟議・決裁を得なければなりません。
ここで強調したいのは、あらゆる情報を収集し、精度高い意思決定が行える示唆が出すことは確かに大事なのだが、「その示唆を正しく理解してもらい、味方につけ、実際に動いてもらうことこそ」最も重要ということです。
「何事も伝わらなければ意味がない」これは私がコンサルタントをやってきて痛感したことの一つです。
結局、いくら示唆を出したところで、それが正しく伝わられければその聞き手にとっては何も価値のないものを聞いたに等しいのです。さらには、そのコンサルの委託費すら疑問視し始めます。
綺麗な戦略を作り上げたとしても、内部で理解・納得感を得て実行してもらえねば、それは自己満足の範囲を出ません。
日本の経営企画部の人材も同様です。よくあるのはこちら側は意思決定に資する情報を提供したのに、経営陣が無能で理解してもらえなかったという声です。
既にお分かりであろうが、それは「伝え方」が悪いのです。
何度も念押しするが、「いくらコンテンツをリッチにしたところで、相手に伝わらなければ何もないのと同じ」ということ。
相手が理解し、何らかの判断・意思決定を行うまで促せなければ、集めた情報も、作った資料も、プレゼンの時間も全てが無駄ということです。
稟議・決裁・意思決定の場には、何かしらの資料を準備し、口頭で説明する形式が大多数だと思いますが、
意識すべきは、
「意思決定を精度高く、効率良く、納得感を持って行ってもらうためには、何をどのように見せ、説明したら良いのか」と自らで考えてコンテンツを準備するということです。一流企業はこのプロセスが洗練されているため、精度高い意思決定を効率良く行えているのです。
>次の記事:コンサルが駆使するプレゼンデザインとは? (PPT編)
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