人材の確保ができたら、次は一日でも早く戦力となってもらわなければいけません。
経営者の方は、採用に関しては最終面接に出たり、会社のPRを講演したりと積極的に参加される方が多いのですが、いざ、入社してからは現場に任せきりの経営者が多いように見受けられます。
1. 採用後の人材育成の現状
もちろんすべて社長が中心になって動いていると社長の時間が足りないのは言うまでもなく、役割分担をしながら適材適所で人員配置を行ない、日々の業務は部門長や管理職が中心に行っていくのが望ましいです。
但し、入社後は完全に現場に任せてしまって、半年・1年経って期待していた結果が伴っていなく管理者を叱咤しているという光景がよくみられる企業も多いのではないかと思います。現に私が勤めていた会社やコンサルタントとして関わりあった会社の中にはこのように社長が遠い存在で、現場は会社の想いやベクトルとは関係の無いところで日々業務を遂行しているということが散見されていました。これでは、せっかく手間もコストもかけて苦労して人材を確保したのに期待する効果を発揮するのは難しい状況となってしまいます。よくうちの社員はだめだなぁと愚痴を言っている経営者や管理職の方は、人が育つ環境を作られているかを自問自答してみてください。
社員教育をどのようにやっていけばよいかとインターネットで調べると、OJTや自己啓発、メンター制度、ジョブローテーション等を活用しましょうといった内容のものがたくさん見つかります。もちろん社員を教育していくうえで有効な手段だと思います。
現実的にはこういった内容を日々実践していくことは重要です。ただ、これはあくまで手段であって管理者が目的をしっかり会社の目指す方向に沿って進めていくのではなく、単にテクニカル的にOJT・E-ラーニング等を行なってもできる業務の幅が広がる効果はあっても、本来期待する自走して会社を引っ張ってくれるような人材集団にはなかなかなってくれません。
もちろんこれをしておけば期待する結果を得られるといった絶対的なものはなく、それぞれの会社のそれぞれのタイミングによって最適な方法は異なってくると思います。
だからこそ、会社の現状に即した人材育成を日々改良しながら行っていくことが重要です。
2. 具体的な人材育成方法
2-1 テクニカル以前に行なうべき重要なこと
それでは、具体的にどのように育成を行なっていくべきなのかについて述べたいと思います。
最初に結論を言うと、メンター制度やジョブローテーションといったテクニカル的な施策を行なう以前に、会社が目指すベクトル、各部署・役職に期待する、担う役割を会社のTOPや責任者が現場に共有することから始めることが一番重要です。
ここができていない企業が圧倒的に多いため、外部の高いコンサルタントを招いて社員教育を行なっても知識しか吸収できていないということになってしまうのです。
2-2 経営者の想い・方向性の共有、目標設定
テクニカルな内容に関しては、別の機会で書かせていただくとして、今回はまずとっかかりの重要な要素・進め方をレクチャーいたします。
会社・社員が成長していくには、まずTOPが会社はこうなっていきたいんだ!という情熱を社員に伝え続け、その為に1年3年5年後はこうありたいという目標・指針を示すことからスタートしましょう。
会社のベクトル・指針を示せたら、次は会社の成長と個人の成長・ベクトルが同じになるような目標設定を作るべく部門長・所属長とのすり合わせを行ないます。
個人の目標達成=会社の成長になるような活動ができるとその組織は強くなれます。
ここで重要なのが個人が自分の目標=会社の成長になるような目標設定に無理やりさせては効果が半減します。
無理やり作らされた目標は皆どこか納得できず会社が言うからやらされていると感じやすくなります。
そうならない為には常に上記会社の目標・方向性を共有しながら、各部門長・所属長が日々会社の目標に対して現場の役割・想い、求める人材像を部下に共有し、各課・係長・リーダーがチームとしてどうありたいかや会社の成長に現場として出来ること・どういった役割を担っているかを伝えていくという伝播をしていくことが重要です。
“このようにしろ”と上から指示するより、日々こういう役割を担っている・こうあってほしいと期待されているということを感じながら業務を行なっていると“こうなりたい”“こういう役割を担いたい”と思ってくれる社員が出てきます。
そういった人を増やすことを部門長・所属長の役割としていくといろいろテクニカルな人材育成手法を使わないでも自走社員・会社の中核となってくれる人材が育ってくるでしょう。
2-3 進捗確認・評価制度の重要性
目標の設定ができたら、実施するフェーズに入ってきますが、やはり一番モチベーションが高いのは目標を設定した時であって、日々の業務の中ではどんどんそのモチベーションは低くなってきます。ですから課長・リーダーは日々の業務の進捗確認だけでなく、個々の立てた目標に対して現状どういう状況なのか?目標達成の為に行なうことは何か?といった気付きを与えていくということが肝要です。
日々の業務に忙殺され、この作業を怠ってしまうと目標を立てただけで日々の動き・結果に対してもぼやけてしまい、次に立てる目標もぼやけていってしまう、もしくは目標自体は素晴らしい内容だが、言ってるだけで行動をみてもらえないので、目標設定することが目標に成り下がってしまうことになってしまいがちなので注意が必要です。
ですから、日々目標に対しての進捗をみてあげる人が必要であり、1か月や3か月ごとに目標と結果に対する答え合わせをすることが重要です。
こうみるとけっこう面倒だなと思われるかもしれませんが、人を育てる・会社を育てるということは営業で数字を作り上げるのと同じくらい、このような熱意と行動が必要になってきます。
社長からすると、強い思いで始めた会社、社員にとっては数多くの中で出会えた会社、できることを増やして人生においても報酬においても良い思いをしたいと皆さん思うはずです。
日々の頑張りが自分の成長になって、それが会社の利益になって、更に上の役割を担っていけるようになり報酬も上がるといった、やりがいと実入りがリンクするよう導いていくことが人材を成長させるにおいて重要な要素となります。
コメント